首イボやイボの治療といえば「液体窒素療法」が一般的です。
液体窒素は、日常ではあまり見慣れないものですので「そもそもってどんな方法なんだろう?」と、治療するとなると不安になりますよね。
今回は、そんな液体窒素についてご説明していきます。
液体窒素療法とは
液体窒素療法とは、簡単に言ってしまえば皮膚の細胞を「凍らせる」「溶かす」を繰り返す方法です。
実際に使用する液体窒素はマイナス196℃。
この超低温の液体を綿棒などに染み込ませ、ウイルスに侵されている患部を急激に凍らせる(低温やけど)ことで、ウイルスの住み家(発生源)である皮膚の浅い部分の表皮細胞を破壊します。
もう一つ、免疫が活性化されてウイルスをやっつけたり、炎症を押さえる効果を発揮しているという説もあり、そのためにアトピー性皮膚炎やかゆみの強い症例でも使用されることがあります。
液体窒素での治療経過(回数)
液体窒素療法により、ウイルスの住み家である表皮細胞が壊れ、かさぶたとなって剥がれ落ちます。
治療経過はおおよそ以下の通り
治療当日: クリニックにて治療。治療時間は数分程度。特に自宅での処置は必要ありません。お風呂なども普段通りに入ってOKです。1日目:治療した部分が少しチクチクとす性可能あります。もしかすると、水ぶくれになっている場合もあります。
2~7日目:次第に黒っぽいかさぶたに変化してきます。
それ以降:おおよそ2週間ぐらいを目安に、かさぶたが取れるまで待ちます。
*顔や首のいぼを治療するときは、2週間ほど目立つかさぶたになることを覚悟してください! なので、デートなどの大事な予定の前には行わない方が良い治療です。
かさぶたが取れて、皮膚の凸凹が無くなりつるっとしていれば、1回で治療は終了します。まだ、凸凹が残っていれば2回目の治療を受けます。
2日目に治療箇所が水ぶくれになったり、その後血マメのように変化しても、そのまま黒っぽいかさぶたになりますので、待っていれば大丈夫。
逆に、水ぶくれが破れたり、治療した範囲を超えて周りが赤くはれてくる場合は、クリニックに早めに相談した方が安全です。
液体窒素で治療できるもの
・首イボ
・顔のイボ(脂漏性角化症、老人性イボ)
・体のイボ(脂漏性角化症、老人性イボ)
・何だか分からないけれど、皮膚の表面にありそうなもの
・皮膚癌の一部(高齢などの理由で手術ができない場合)
・痒疹結節
・アトピー性皮膚炎の炎症が強い時など
液体窒素で治療って痛いの?
確かに、液体窒素療法は痛みを伴います。
ただし、治療する部位によっても、痛みの程度は違うので(治療する強さが異なるため)、どこにイボがあるかで手軽さは変わってきます。
痛くないランキング
2位) 首
3位) 体
相当痛いところ
ワースト2位) 手
ワースト3位) 薄く削って治療するときの足の裏
液体窒素療法はどこで受けられる?
ではその「液体窒素療法」は一体どこで受けられるのでしょうか。
答えは「皮膚科」です!
保険診療で治療でき、どこの皮膚科でも治療が可能なため手軽に受けることができます。
形成外科では、液体窒素を準備していないところが多いので事前に確認した方が無難です。また、内科や他の科では通常液体窒素をおいていません。
液体窒素療法のメリット
・1回1500円程度(3割負担)と安価なこと
・どこの皮膚科でも治療可能
液体窒素療法のデメリット
・痛みは、1日ぐらい続く
・同じ場所に数回の治療が必要
・取れるまでトータルで数か月かかることもある
・2~4週間隔で治療
・1~2㎜ほどの小さないぼは取れないことがある
・炎症後色素沈着とよばれるシミができる
この写真は、首いぼの治療を他のクリニックで液体窒素によって受けて、3か月後の方です。
ハッキリとした茶色い色素沈着が、首いぼの大きさより大きくできていますよね。 しかも……肝心の首イボは取れていません。
こちらの方もやはり他のクリニックで液体窒素による首いぼ治療を受けました。1年半経過しても、うっすらとしたシミが残っています。
炎症後色素沈着(シミ)は液体窒素療法を行った方の9割ほどに見られる副作用です。
このシミは、
・取れるまでに半年~1年ぐらいかかる
・自費の美白剤を使用した方が早くとれる
・1~2㎜のイボを治療すると、イボよりも一回りも大きいシミになる
という困った事態になります。
しかも、炎症後色素沈着は自費治療となるため、数万円~数十万円ほどの治療費がかかります。
液体窒素治療の痛みをなくす方法
残念ながら、この液体窒素療法で痛みをなくす方法はありません。
また、どうしても治療後に炎症後色素沈着ができてします。
ウイルス性のいぼであれば、液体窒素療法以外に選択肢はないですが、顔や体・首のイボであれば、違う方法を選んだ方が無難と言えます。